桜島の噴火からみる屋根の話
まだまだ暑い日が続きますが、みなさんいかがお過ごしでしょうか?
この夏は桜島の爆発的な噴火が話題になりましたね。
これほど警戒レベルの高い噴火は珍しいものの、桜島が噴火すること自体は珍しいことではなく、
年間1000回以上噴火することもあるそうです。
鹿児島出身の友人によると、「今雨が降っている?灰が降っている?」というのが日常会話になるくらい、
噴火による火山灰が降るのが日常的とのこと。
この度々降る火山灰によって、健康被害だけでなく家にも被害が出ていると報告されています。
火山灰が家の中に侵入したり、屋根の上に溜まって屋根を劣化させてしまっているのです。
鹿児島県ではこうした家の被害を受け、火山灰対策を施した「克灰住宅」を推奨しています。
内容としては、火山灰が家の中に侵入しにくいよう機密性の高いサッシを使用する、
灰が降る日も洗濯物を干せるようにサンルームを設置する、などがあります。
屋根に関しては灰を除去しやすい単純な形状とし、勾配は4/10以上とする等が条件とされています。
さて、この勾配4/10以上とはどのくらいの勾配なのでしょうか。
屋根勾配は、地面と水平方向を10として立ち上がりがどのくらいあるかを数字により示しています。
つまり、数字が大きいほど急勾配ということになります。
鹿児島の克灰住宅に限らず、雨の多い日本では水はけを考え、屋根の勾配には屋根材によって必要な勾配が決められています。
1番勾配が少なくてもすむ金属屋根は1/10以上、スレート屋根なら3/10位以上、そして瓦屋根なら4/10以上です。
屋根勾配は一般的にこの4/10前後が並勾配とされ、それより急だと急勾配、なだらかだと緩勾配とされています。
(岐阜にある白川郷は勾配が17/10と超急勾配!)
「克灰住宅」に関しては、どの屋根材であっても並勾配以上の勾配はつけましょう、
という提案となっているということがわかります。
では、屋根勾配は急であればあるほど良いのでしょうか?
急勾配の屋根は雨や汚れが流れやすく、雨漏りや劣化の心配が少なくなります。
また屋根裏に空間ができるため断熱効果が期待できます。
しかし屋根の面積が広くなるため設置や塗り替えにコストがかかったり、屋根高が高くなることで
北側の日あたりが悪くなるというデメリットもあります。
台風の影響も受けやすいでしょう。
家の屋根の勾配はこのように、鹿児島県の克灰住宅に限らずコストや周囲の環境、日当たり、使う屋根材の種類、外観デザインといったさまざまな面に配慮しながら決めていきます。
ご自身で屋根勾配を計算する必要はありませんが、こうしたことを考えながら設計士は設計しているんだなぁと知ってもらえたらうれしいです。
はら
鹿児島県 克灰住宅マニュアル http://www.pref.kagoshima.jp/ah14/kurashi-kankyo/sumai/reform/documents/kokuhai1-4.pdf
0コメント